大丈夫?子供のカラダ5
7.骨に必要なカルシウムの正しい取り方
家の中にこもっていては、骨は丈夫になりません。子どものときは、外で遊び回ることが大事なことが、骨を例にとってもわかります。
栄養については、和食のバランスが世界中で一番良いそうです。しかし、カルシウムの摂取だけが少ないと指摘されています。身体のなかでは、カルシウムの量 が一定に保たれていることが必要です。通常は、血液中のカルシウムの量が、10mg/100ccで保たれています。これが、食事からのとる量が少なかったり、腸からの吸収が悪かったりしますと、血液中のカルシウム濃度が低下してしまいます。身体は、それをすぐに補おうとします。そのために、カルシウムの貯蔵庫である骨からカルシウムを血液中に送り込んでしまいます(図挿入)。そのために骨のカルシウムの量が減ってしまいもろくなってしまいます。給食では、牛乳でカルシウム分を補っていますが、脂肪分が多いのと、牛乳に含まれている乳糖というものを消化する酵素を日本人は持っていないので、下痢をしやすいために乳幼児を除いては、あまりおすすめできない場合があります。魚を多く食べることが、骨に良いのはわかっていますが、料理がめんどくさい、小骨がじゃまなどの理由であまり食べないようです。そこで小魚をミキサーにかけて粉々にして、味噌汁や料理に使って、カルシウムを補ってみてはいかがでしょうか。骨を丈夫にするには、お母さんの工夫と指導がとても大事です。
8.骨の成長の欠かせないビタミンとホルモン
骨を作るには、カルシウムだけとればよいように思いがちですが、カルシウムだけではなくビタミンやホルモンの働きが必要なのです。ビタミン類は、人間の身体のなかで作ることができないので、食事としてとることが必要になります。特にビタミンA、C、Dは、骨の材料を作っていく上で重要です。その関わりがわかると食事の大切さがわかります。
骨の中の構造を見ますと、ちょうど建て物の鉄筋コンクリートの柱によく似ています。鉄筋コンクリートの柱を作るには、まず鉄筋を骨組みとして組上げます。そしてその周りを柱の太さに合わせて、板で覆いその中へコンクリートを流し込みます(図挿入)。固まれば完成です。これと同じ作業を骨でも行っています。骨の中では、鉄筋に相当するものをコラーゲンと呼んでいます。
コラーゲンは、骨芽細胞という工場の中で、3本の蛋白質の糸をビタミンCの力を借りて1本の縄にしたものです(図挿入)。また同じ工場で、糖の一番小さい形のグルコースと呼ばれるものなどが集まって、ビタミンAの力を借りて、糖がいくつもくっついてムコ多糖体と呼ばれるものを造ります(図挿入)。でき上がったコラーゲンとムコ多糖体は、工場の外に出されます。ムコ多糖体は水分をつかんでおく性質があります。するとセメントに相当するカルシウムとリンが、ビタミンDの働きで腸から吸収されて、近寄ってきてくっつきます。そしてコラーゲンの中で固まります(図挿入)。これで骨が完成します。しかしビタミンC が不足していると、コラーゲンが細胞の中で造られる際に、3本が、縄のようにからみあうことができません。ビタミンAが不足すると、ムコ多糖体が作られなくなります。ビタミンDが不足するとカルシウムを吸収できません。
食品添加物や化学物質は、身体の中でビタミンCを消耗させます。関節の骨の表面は、このコラーゲンという蛋白質でできています。ビタミンCが不足し、身体の中でコラーゲンの生成が弱まると、関節表面に多くあるコラーゲン線維どうしの結合が強まって硬くなってしまいます。硬くなってしまうと関節液からの栄養の吸収が悪くなるために、硬くなったコラーゲン線維を破壊するための酵素が出てきます。その酵素の働きで、軟骨の表面のコラーゲンが壊されていきます。そして関節表面のコラーゲンが減っていきます。関節は、もともと関節腔というすき間が、骨と骨の間にあります。このすき間の間隔がコラーゲンの減少によって大きくなってしまい関節は不安定になります。不安定になった関節は、炎症を起こしたり、筋肉や靱帯を緊張させてしまいます。この事によって、指の関節や首の関節をポキポキ鳴らしたくなったり、動かす度に音がするようになるのです。
したがって、食品添加物や化学物質の摂取を控えて、骨を作る栄養素としては、蛋白質、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、カルシウム、リンを多く取ることが必要ということです。
丈夫な骨になるためには、運動とバランスの良い食事が、かかせません。
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