車にはねられて骨盤骨折、全身打撲78歳、主婦、H.Yさん

主訴

平成7年に、道路を横断中に車にはねられ、意識を失いました。救急車で病院へ運ばれ検査の結果、骨盤骨折、腓骨骨折、全身打撲。
退院後も3年間通院し、一時良くなったかと思いましたが、平成20年頃から腰の痛みに襲われるようになり、整形外科で注射を続けていましたが、治るどころか歩けないほど痛みがひどくなり、大きな病院へ行きました。
2ヶ月に一度薬をもらいに行きますがあまり変化が見られません。
今は、杖とコルセットが離せません。

検査結果

左寛骨後方変位・右寛骨前方変位による左股関節開脚制限、左大腿二頭筋低下、左半腱半膜様筋低下、両側梨状筋低下。
両下肢の筋膜可動制限による膝関節の炎症。

経過

現在、杖なしで歩けるようになりました。
コルセットも外している時間が増えて、していてもゆるく巻いているだけ。
毎朝、散歩をして公園でラジオ体操をして来ます。寒い時に少し股関節付近が気になりますが、不安がなくなりました。

説明

H.Yさんは、左側から車に跳ね飛ばされて道路に叩きつけられたわけですから、
骨折は当然のこと命が助かって良かったですね。これほどの激しい衝撃が身体に加わったわけですから、
全身の筋肉がダメージを受けているはずです。特に呼吸をする横隔膜かくまくが緊張を起こし呼吸が制限されてしまいます。さらに何ヶ月も入院していて動けない状態が続いていましたから、
リンパ液や静脈の血流障害を起こしてしまったことが想像できます。
このような状態では、関節や筋肉から危険信号が脳へ送られます。
危険を回避して身体を守るために脳は行動抑制をかけます。
家の中でのんびり体を休めていなさいということです。
しかし、時間が経つと動きたくなってきます。
脳の行動抑制スイッチを解除しないまま活動量を増やしていきますと、筋肉の張りは次第に強くなってきて、関節や神経を締め付けていきます。
その結果、神経痛や関節の痛みが再発してきます。これがH.Yさんの経過の分析です。